世界的に進む脱プラスチック

日本でも、近年「脱プラスチック」の動きが注目されていますが、世界、特に欧米諸国では日本以上に規制や消費者の意識が高まっており、環境にやさしい素材を使ったものが注目を集めています。
そこで今回は、海外向け製品のパッケージを考える際に、ぜひ知っておきたい外国のゴミ処理事情についてご紹介させていただきます。
近年、新しい規制が進むヨーロッパの脱プラスチック
ヨーロッパは特に環境問題に対する関心が高く、ヨーロッパで始まった規制や取り組みが諸外国にも広がるといった動きが見られます。
近年では、特に使い捨てプラスチックの削減に向けた取り組みに力を入れています。
シングルユースプラスチック指令(SUP指令)
2019年にEUで採択されたこの指令は、使い捨てプラスチック製品が環境、特に海洋環境に与える影響を低減することを目的としています。プラスチックストロー、カトラリー、食品容器などの特定製品の市場投入を制限し、再利用可能または環境に優しい代替素材の使用を促進しています。
参考:Single-use plastics – European Commission
欧州グリーンディール
欧州グリーンディールは、持続可能な経済への移行を促進するEUの包括的な政策です。プラスチック廃棄物の削減やリサイクル率の向上に焦点を当て、2030年までにすべての包装材をリサイクル可能にする目標を掲げています。これには、生分解性素材やリサイクル材の活用義務化なども含まれています。
参考:徹底解説:EUグリーン・ディール産業計画 – ジェトロ
そして、こうした規制は、ヨーロッパだけでなく、世界全体に波及しつつあります。
各国のゴミ処理事情と規制
アメリカでは、カリフォルニア州が2028年までに販売されるプラスチック製品の30%をリサイクル可能にすることを義務化。ニューヨーク州ではプラスチック袋が禁止され、紙袋や再利用可能な袋への移行が進んでいます。
カリフォルニア州:SB 54法案
2022年に制定されたこの法律では、2028年までに販売されるプラスチック製品の30%がリサイクル可能であることを義務付けています。また、2032年にはリサイクル率を65%に引き上げる目標も設定されています。
参考:CalRecycle – State of California
ニューヨーク州:プラスチック袋禁止法
2020年に施行された「Bag Waste Reduction Act」により、ニューヨーク州では使い捨てプラスチック袋の使用が全面的に禁止され、再利用可能な袋や紙袋の使用が推奨されています。この法律は、プラスチック廃棄物削減のための大きな一歩とされています。
参考:ニューヨーク州、2020年3月からプラスチック製レジ袋の使用禁止(米国) | – ジェトロ
中国では、電子商取引(EC)市場が爆発的に成長しています。その一方で、包装や緩衝材として使用されるプラスチック製品の廃棄問題が深刻化しており、政府や各事業者による対策が進められています。
中国:プラスチック汚染対策の一層の強化に関する意見
2020年に特定プラスチック製品の生産・販売を禁止、2022年には消費量削減と代替品普及、2025年までに廃棄物処理システムの整備を目指しています。非生分解性プラスチック袋やストローの使用禁止、代替製品の利用促進などを推進。
参考:中国の政策概要 – 環境省
また、地方自治体では北京市がプラスチック袋の無料提供に罰則を設け、上海市は主要店舗での提供禁止やホテルの使い捨て製品制限を実施しています。
また、インドでも同様に経済の発展に比例してゴミ処理問題が大きくなってきており、近年は特に生分解性素材の利用を推進しています。
インド:生分解性素材の推進
インドでは、1人当たりのプラスチック消費量は1980年の1kg未満から2019年に11kgとなり、2022年には20kgに達すると予測されています。一方、プラスチック廃棄物も増加しており、これに対処するためインド政府は2019年以降、使い捨てプラスチックの制限を含む汚染防止政策を導入しました。具体的には、リサイクル可能なプラスチック袋の厚み基準を段階的に引き上げ、生分解性樹脂やバイオブレンドの利用を促進しています。
参考:インド:米国の生分解性および堆肥化可能な樹脂メーカーにとってのチャンス – ITA(米国)
環境にやさしいパッケージで製品をグローバルスタンダードに

海外向けに販路拡大を狙うのであれば、環境への配慮が求められる時代になりました。
対象国のルールを尊重することはもちろん、製品のパッケージを通じて「環境問題への姿勢」を示すことが企業のイメージアップにもつながります。
生分解性パッケージをはじめとした、環境にやさしいパッケージにご興味ございましたら、ぜひ東邦樹脂工業にご相談くださいませ。