東邦樹脂工業が取り組む「環境にやさしいパッケージ」
東邦樹脂工業は、三菱ケミカルが開発した生分解性樹脂“BioPBS™”を使用した環境にやさしいパッケージの開発に取り組んでいます。このパッケージは、持続可能な社会の実現を目指すSDGs（持続可能な開発目標）への対応を目的としています。ここでは、BioPBS™の特性やパッケージ開発における課題、そして東邦樹脂工業の技術力による課題解決についてご紹介します。
三菱ケミカル社が開発した生分解性樹脂BioPBS™の特徴
BioPBS™は、三菱ケミカル株式会社が開発した植物由来の生分解性樹脂であり、以下の特徴を持ちます。
BioPBS™の特徴（一部）
※その他にもBioPBSにはさまざまな特徴があり、パッケージ以外にも多岐に渡る分野で活用されています。 参考： 植物由来の生分解性樹脂「BioPBS™」（三菱ケミカル株式会社）
- 優れた生分解性
- BioPBS™は、他の生分解性樹脂と比較して、低温環境でも高い生分解性を示します。この特性は、自然環境中での分解を促進し、プラスチックごみによる環境汚染を軽減することに役立ちます。
- 植物由来（脱石油）
- 石油由来の樹脂ではなく、植物由来の原料を使用しているため、カーボンニュートラルの観点からも優れた素材です。この点は、近年ますます高まる環境保護の要求に応える重要な要素となっています。
- 耐熱性
- 耐熱性にも優れており、食品パッケージや工業製品の用途に適しています。これにより、多岐にわたる業界での使用が可能となります。
このBioPBSと紙やセロファンといった素材とを組み合わせて「環境にやさしいパッケージ」が作れないか・・・ラミネート技術に実績のある東邦樹脂工業へお声がけいただいたところから、開発がスタートしました。
素材の特性に苦戦・・・パッケージに求められる品質とコスト
生分解性樹脂は先にご紹介したように環境にやさしい優れた特徴を持っていますが、独自の特性から、ラミネート素材としてはなかなか取り扱いの難しい素材です。
「環境にやさしいパッケージ」開発に向けた課題
ラミネート素材としての課題
ラミネート加工時に、生分解性樹脂は一般的な樹脂に比べて均一な厚みを実現することが難しく、品質にムラが出るリスクがあります。
歩留まりの課題
生分解性樹脂は一般的な樹脂よりも高価であるため、歩留まりが悪いと製造コストが大幅に上昇します。結果として、パッケージの導入や普及においてコスト面が大きな障壁となります。
一般的な樹脂と比べて、高価な生分解性樹脂。今後導入や普及を促進する上で、少しでも導入ハードルを下げ、安定的に生産できるようになることが大きな課題として現れました。
課題解決に東邦樹脂工業の技術力で貢献
環境にやさしいパッケージの開発・普及に向けて見えてきた課題に対して、東邦樹脂工業は長年の経験と技術力を活かし、改善に取り組んでまいりました。
技術力とデータ蓄積
過去に蓄積された膨大なデータと経験をもとに、試行錯誤を繰り返しながら歩留まりの改善に成功しました。これにより、従来よりも安定した品質を実現しています。
設備・体制への投資
最新の設備導入や加工体制の強化を行い、特定の構成における原反の確保を実現しました。この結果、安定した生産や小ロットでの受注など、生分解性素材のパッケージ導入におけるリスクを軽減できる体制を確立しています。
積極的な取り組み姿勢が協業の鍵に
東邦樹脂工業が数あるラミネートメーカーの中から選ばれる理由の一つは、積極的な取り組み姿勢です。
SDGsへの貢献意識
SDGsや社会的意義を意識し、今後の需要拡大を見据えたテストや試作にも積極的に協力しています。こうした「世界を良くしたい！といった想いが、業界内での信頼を高めています。
難しい素材への挑戦
取り扱いの難しい生分解性樹脂であっても、東邦樹脂工業は挑戦を続け、技術力で乗り越えています。挑戦に失敗はつきもの「成功の反対は挑戦しないこと。失敗は大切な資産」といった企業姿勢が、顧客からの信頼を得る大きな要因となっています。
そうして生まれた「環境にやさしいパッケージ」
こうして開発された環境にやさしいパッケージは、特に海外向け製品や外資系企業向け製品での採用が進んでいます。また、小ロット生産に対応することで、在庫リスクを抑えつつ導入することが可能です。
今後も東邦樹脂工業は、環境負荷を低減するパッケージの普及に努めていきます。ご興味をお持ちの企業様は、ぜひお問い合わせください。